貯蔵品(IAS2)

企業会計

日本において、カタログのような販促物や金券類のうち、未使用のものを貯蔵品に計上する実務が定着していますが、IFRSにおいては、貯蔵品は補助材料のような生産過程で消費されるものに限定されています。

よって、製品カタログのような、生産過程ではなく販促活動で消費されるものは、IFRSでは貯蔵品計上せずに、購入や検収のタイミングで費用処理します。

印紙や切手等の金券類は、換金性の高さなどからIFRSでも資産性は認められるため、「その他の流動資産」のような貯蔵品以外の科目で資産計上することになります。

貯蔵品は、税務では当期の経費と認められないために資産計上しているケースも多いと考えられるため、IFRSの連結決算だけでなく税務申告での対応も見据えた場合に、日本基準の単体決算での会計処理はどんなパターンがあり得るかをみていきたいと思います。

1)日本基準の単体決算(資産計上or費用処理?)
製品カタログのような、税務上は資産だがIFRS上は当期の費用となるケースを例にしますと、「単体決算→税務申告」と「単体決算→連結決算向け財務報告」の組み立て方法は、以下の2パターン(①・②)のいずれかの選択が考えられます。

<「単体決算→税務申告」と「単体決算→連結決算向け財務報告」の組み立て方法>

① 単体決算と税務を一致させる方法
日本基準での単体決算上は税務とイコールとすべく貯蔵品を計上し、IFRSでの連結決算向けの財務報告上は、貯蔵品→費用の会計処理をGAAP調整仕訳として反映する方法になります。

② 単体決算とIFRSを一致させる方法
上記パターン1とは逆に、日本基準の単体決算の段階から貯蔵品を計上せずに費用処理し、それをそのままIFRSでの連結決算向けの財務報告とした後で、税務申告書の中で費用→資産の調整を反映する方法になります。

2)結論
上記②の単体決算で費用処理する方法を採用する場合、帳簿上で費用処理しているものから資産化対象を拾い上げるのはかなり面倒で、拾い漏れや金額誤りが起きるリスクも高まります。

よって、貯蔵品については、日本基準単体決算での処理を税務とイコールとしておき、連結決算向け財務報告にて資産→経費のGAAP調整仕訳を反映する上記①の方法のほうがベターと思われます。

なお、金券類は、日本基準の単体決算や税務においては、資産計上するB/S科目は貯蔵品以外の科目でも認められると思いますので、日本基準の単体決算の段階から貯蔵品以外の科目(EX 「その他の流動資産」)で計上しておけば、IFRSの連結決算上でのGAAP調整(「貯蔵品」→「その他の流動資産」のB/S科目振替)が要らなくなると考えられます。

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